■昨夜のS&P500へのサーキットブレーカー作動について
サウジアラビアとロシアの原油減産協議が物別れに終わり、OPECプラスよりロシアが離脱。これをきっかけに原油価格が暴落し、リセッション入りを懸念した投資家がパニック売りを行った結果、S&P500のサーキットブレーカーLevel1が発動し日本時間22時34分頃~50分頃の間、取引が停止しました。
サーキットブレーカー解除後、一旦は株価上昇を見せましたが、その後はズルズルと下落し、下げ幅としては史上最大となる$2,014の歴史的下落となり、NYダウは$23,851.02と$24,000を割り込んで引けました。
1羽目のブラックスワン『コロナショック』に続き、2羽目のブラックスワンが『原油低価格戦争勃発』という形で市場に舞い降りた格好となっています。
VIX指数(恐怖指数)は一時60弱まで跳ね上がり、機関投資家のシステム売りと共に個人投資家の狼狽売りや、レバレッジ取引をしている投資家の追証逃れ売りが、株価下落に拍車をかけました。
加えて、安全資産とされる円貨に買いが殺到し、一時、ドル円レートが100円割れする勢いで円高ドル安が進行しました。執筆現在は日本の財政出動により104円台まで持ち直しており、NYダウ先物はトランプ米大統領の給与減税による救済検討のTwitter発信と自立反発により、若干、持ち直しの兆しを見せています。
■米国市場のサーキットブレーカーとは?
1987年に起きたブラック・マンデー(暗黒の月曜日)以降に導入されたシステムで、株価暴落の恐怖に取りつかれた投資家の頭を冷やして、冷静な判断を促すことを目的としています。
このサーキットブレーカーの発動は、米国市場の直近では2008年のリーマンショック以来となりますので、比較的長く米国株投資をされていた方でも、初めての経験となる方が多かろうと思います。
経験しなければ、それに越したことは無いのでしょうが、貴重な経験と言えますね。
米国市場のサーキットブレーカー発動には3段階あります。不安定な相場ですから一度、ここで纏めます。
・Level1
米国時間の15:25までにS&P500が前日の終値から7%下落したら、15分取引を停止する。
•Level2
米国時間の15:25までにS&P500が前日の終値から13%下落したら、15分取引を停止する。
•Level3
時間帯に関係なくS&P500が前日の終値から20%下落したら、終日取引を停止する。
以上となりますが、一方、S&P500に含まれる個別銘柄で前日終値が$3以上の個別株においても、同様にサーキットブレーカー(取引制限)があり株価が急変動した場合に適用されます。個別株の取引制限はリミットアップ、リミットダウンと呼ばれ、上限もあるのが特徴です。
・9:30~15:35の間は過去5分間の平均価格から15秒間5%以上変動したら5分間取引停止する。
・15:35~16:00の間は過去5分間の平均価格から15秒間10%以上変動したら5分間取引停止する。
■NYダウとマークス保有銘柄との下落率比較
昨夜のNYダウの下落率は「-7.79%」でした。$2,000以上の下落の割には、元々コロナショックの影響を受けて下落していたからかも知れません。ではマークス保有銘柄との比較です。
銘柄/下落率/NYダウとの差で記載しています。
・IYR(不動産ETF):- 7.41% / +0.38%
・ABBV :- 4.00% / +3.79%
・WFC :-12.43% / -4.64%
・TGT :- 1.81% / +5.98%
・PG :- 4.60% / +3.19%
・MCD :- 6.03% / +1.76%
・JNJ :- 3.94% / +3.85%
・PM :- 6.46% / +1.33%
・PM :- 6.46% / +1.33%
・KO :- 6.15% / +1.64%
・VZ :- 1.63% / +6.16%
・IBM :- 7.77% / +0.02%
・PFF(金融ETF) :- 3.74% / +3.05%
以上ですが、こうして比較してみるとNY市場暴落時の下落に対する銘柄の耐性が解りますね。
やはり通信セクターであるベライゾン(VZ)は一番耐性があるようですね。次がターゲット(TGT)です。保有はしていませんが、同業のウォルマート(WMT)は-0.06%と素晴らしい下落耐性を有しています。
今回舞い降りた2羽目のブラックスワンとなった原油に関わる銘柄のXOM(エクソンモービル)と原油先物急落による信用不安懸念から金融セクターのWFT(ウェルズファーゴ)も同じく大きく下げています。
意外にも金融株ETFであるPFFはあまり下げていません。高配当が支えになっているのかも知れませんね。
もう一つ意外だったのはフィリップモリス(PM)です。コロナショックの影響はあまり受けず下落しにくかったのですが、ここに来て一気に下がりました。タバコ銘柄で生活必需品セクターに属するので、P&G(PG)と同じように下落しているのは、いままでが割高だったということでしょうか。暴落時には値動きをよく見ておきたい銘柄ですね。
ただ、マークスの保有銘柄の殆どは歴史的な下落局面でも大きく下げず、相対的に見ると市場価値が上がっていると見れますので、今後始まるかも知れないリセッションに対しても臆することなく買い進めて行けると考えています。
もちろん、好況局面になるとグロース株に後れを取るのは目に見えていますが、資産形成が目的で、年金のプラスした配当金生活が可能であることを考えるとこれで十分目的を果たせると確信しています。
マークスは「コロナショック」の下落局面では、累計配当分含み益をキープ出来ていましたが、下落をチャンスと捉えて早いペースで買い増しをして平均購買価格を上げていた分、今回の下落で$201だけですが含み損が発生しました。もちろん、円換算では為替差損が大きく、-50万超え(102円台)となっています。
しかし、為替レートによるマイナスは、まだまだ先のお話でドルを円に換える必要がないのであくまで目安ですね。
■マークスの今後の投資方針
昨夜、NY市場開場前の先物の値動きを見て、大きく下げることが想定されましたので『マークス流セイフティーネット指値発注』は事前に解除し米ドルキャッシュポジションを取っていましたが、MCD・JNJ・KOの3銘柄だけは、『この値で買えれば文句なし』の強気の下値で指値発注をしており、結果、マクドナルド(MCD)だけですが$184.66で購入出来ました。昨夜の最安値は$184.10だったので、いい線で拾えたと自画自賛しています。
後の2銘柄は暫くこの指値で様子を見ようと思います。
それぞれの銘柄選定理由として、マクドナルド(MCD)は新型コロナ渦中にあっても店舗内ではなくドライブスルーで感染リスクを抑えながら購入が出来るし、原油安発端のリセッションが起きても低価格のハンバーガーを買い控えるといった消費者行動にはなりにくいので業績は大きく低下しないだろうと考えているからです。
次のジョンソン&ジョンソン(JNJ)は米政府と連携し新型コロナウイルスのワクチン開発を行っていることから、開発に成功すれば、大きく業績を伸ばすだろうとの期待からです。
最後のコカ・コーラ(KO)についてはMCDと同様、低価格であるため、消費者が買い控えを行うといった公算が少ないと考えているからです。
生活必需品セクターではプロクター&ギャンブル(PG)も欲しいですが、暫く荒い値動きをしそうなので、様子を見ながら検討したいと思います。
2羽のブラックスワンの出現により、大きな転換局面を迎えている米国市場ですが、この黒い白鳥が飛び立つのは年末以降になりそうですね。これからは少しじっくり構えて保有銘柄の買い増しを進めて行きたいと考えています。
ではでは。
コメント