■昨夜のNYダウ
マークスです。
昨夜のNYダウは経済活動再開期待が継続し、一時は前日の上値抵抗線である$26,295.68をブレイクアウトしましたが、結局は前日比$527.24高となる$26,269.89で取引を終えています。
米国経済活動再開については、ニューヨーク州のクオモ知事が計画の第2段階である外食を認める方針を発表し、本日4日から地域の限定はあるもののレストランの営業再開を認めるなど、徐々にですがコロナ対策を緩和する動きが出てきています。
NYダウの日足チャートを眺めると、ほぼ上値抵抗の200日移動平均線上で留まっています。
執筆段階では時間外取引で小幅な上昇をみせていますが、本日これを上抜けするのか、調整下落となるのかが注目されます。
値幅は異なりますが、値動きが先週とよく似ていますしRSIも70に近接する数値となっていることから、テクニカル的には今日明日は小幅に下落して調整が入るのではないかと想定しています。
また、本日発表の雇用統計結果によっては、大きな調整がでる可能性も否めません。
一方、原油価格は反落しています。
昨日の記事に述べた通り、RSIが70に接近していることも影響していると考えられ、調整の動きが意識されていると思われるほか、今月10日予定とされていたOPECプラスの会合が、サウジアラビアからの提案で月末まで延期される可能性が示唆されていることも逆風となっているようです。
延期提案の理由は、5月の減産目標を遵守出来なかったイラクやナイジェリアといった減産協調産油国に対し、今後数か月で未達部分を穴埋めするよう要請しており、その協議が難航しているからと報じられています。
原油供給過多の解消に陰りがでていることから、今月中は原油価格の足踏みが続きそうに思います。
■米国株の「適正株価」とは?
さて、先週から始まった経済活動再開の期待感からのNYダウの急騰ですが、既に3月初旬の水準まで回復したことになります。
しかし、ようやく新型コロナウイルス感染拡大に終息の兆しが見え始めたはかりで、ワクチンが開発される時期についても未だ不透明な状態にありながら、あまりにも急激に株価が回復し、実態経済との乖離が大きくなっていることに違和感を感じている方は多かろうと思います。
そこで、そもそも適正株価がどうして決まってくるのかを考えると、ベースとなる株価はアナリストが企業決算発表で先行きの通期見通しを発表し、この見通しを基準に四半期ごとの決算予想をたて、これに対して企業業績が予想を上回れば上昇、予想を下回れば下落するといった値動きをすると考えるのが自然です。
もちろん、その時の投資家心理なども大きな影響を与えますので、一概に語ることは出来ませんが異論多数となりますので、ここはシンプルに、予想に対する結果が適正株価を決めると考えてみます。
ではコロナパンデミックが経済を直撃した各企業の2020年第1四半期決算発表はというと、感染症拡大対策としての都市ロックダウンや外出制限による売上高の減少や消費者行動の変化、ワクチン開発時期などの不透明さから、殆どの企業が昨年発表していた今年の通期見通しを撤回しています。
こうなると、通期見通しを基にアナリストはどのような手法で企業の「適正株価」を決めるのか、ということになりますね。
適正株価を決めるにあたっての根拠となる通期見通しが無いのですから、手掛かりとしては経済活動が再開することによってコロナショック前の状態に戻るだろうという想定しか出来ないのではないでしょうか?
こう考えると、ここのところの急激な株価回復は、この経済活動が再開すればコロナショック前の企業業績も『戻るだろう』という楽観的な見方が優勢となり、これを織り込んで上昇していると考えられます。 コカ・コーラ(KO)を例に挙げると、20年第1四半期決算発表では、劇場やスポーツイベントの中止によって売上が大きく低下しており、通期見通しを撤回しており、他の銘柄に比較して株価回復が出遅れていたのですが、今週に入ってから上昇基調に転じています。
KOの日足チャートを眺めると、昨日急騰しているのが見て取れますね。
NY州で経済活動抑制が緩和され始めてはいますが、スポーツイベントなどは無観客で当面開催されるであろうことや、席感覚を開けるなどのソーシャルディスタンスを意識した劇場の再開など、恐る恐るの経済活動再開となることが予想され、ワクチンが完成するまでは、コロナショックと同等への回復は見込みにくいことから、今年の業績は奮わないと考えられます。
しかし、これを無視して上昇し続けるなら、やはり割高になってしまう公算が高くなります。
KOはNYダウ30種に組み込まれている銘柄でNYダウのRSI数値が68.78に対して59.99となっており、昨日上昇したとはいえ、まだ出遅れ感がありますね。
とはいえ、売られ過ぎとなる30以下からは乖離していますので、割安であるとは言えませんので、概ね適正価格のレンジ内といったところでしょうか。
アナリストが示唆する「適正株価」は、各企業が見通しを示さない現在では参考にするには根拠に乏しいと考えられますので、マークスは買い増し銘柄を検討するにあたっては、やはりポートフォリオ占有率と平均購買株価の乖離状況に加え、RSI値も参考にしながら決定して行きたいと考えています。
間違っても急騰する銘柄に飛付いてしまわないように十分注意して行きたいと思います。
ではでは。
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