■原油価格は回復するのか?
新年度を迎えた昨夜のNYダウは、米国の新型コロナウイルス感染症による死者が4千人を超える急増を記録したことを嫌気し、前日比$973.65安の$20,943.51と$21,000を割り込んで取引を終えました。
一方、米シェールオイル生産のホワイティング・ペトロリアムが原油価格の急落を原因として、米連邦破産法の適用を申請したと発表されました。原油相場の急落による上場企業の破綻は初めてとなります。
このようなシェールオイル生産を行う上場企業の破綻は、コロナショックによる経済停止と、それに起因する景気後退局面(リセッション入り)において、需要の大幅な低下を招くことから今後、増加することが予想されます。
トランプ米大統領はコロナショックが始まる前、原油価格は安い方が企業にとって有利であり、歓迎する意向を示していましたが、OPECプラスでのサウジアラビアからの減産協議をロシアが拒否したことを発端に、サウジアラビアが増産に踏み切ることを発表し、コロナショックでの企業の需要低迷と相まって、暴落しています。
WTI原油先物の日足チャートを眺めると、今年1月8日に直近のピーク$65.65を付けた後、一気に暴落して1/3以下となる$19.27と$20を割り込んでいます。
このような状況下、トランプ大統領は方針を転換し、「原油価格が安すぎる」としてサウジアラビアとロシアの協議に介入することを表明していましたが、本日2日、サウジアラビアとロシアが数日以内に原油の価格戦争終結で合意できるとの見方を示したことを好感し、原油先物は一時、5%高となる反発を見せました。
更に、新型コロナウイルスの感染拡大やロシアとサウジの価格戦争で打撃を受ける石油業界への支援について話し合うため、業界幹部をホワイトハウスに招くとも言及しています。
■エクソン・モービル(XOM)の株価は回復するのか?
そもそもXOMは原油価格に対する株価の反応が同業他社のシェブロンなどに比べて鈍い石油メジャーとして、エネルギーセクターとしては安定感がある銘柄でした。 これは、上流である石油生産と下流である石油関連製品生産でバランスを取っているためであることを以前の記事で書いていますが、経済が停止するような異常事態には対応できないと言えます。
XOMの日足チャートを原油先物チャートと比較すると、若干ですが下落角度が緩やかであり、3月中旬に大きく窓を開けて暴落した原油先物と異なり窓を開けずに下落しているのが判ります。
直近では、トランプ大統領の原油暴落への対応を受けて株価も回復基調を見せていますが、需要低下が顕著な中では大きな株価回復は期待できそうにない状況と言えます。
サウジアラビアとロシアの減産協調が合意に至ったとしても需要が無ければ原油価格は頭打ちになるので、コロナショックからの経済回復に左右されるということですね。少なく見積もっても数年は厳しいでしょう。
マークスは、年内に50日移動平均線をアウトブレイクすることは困難であると考えていて、年末のリバランスによる一部売却を視野に入れつつ、現在の平均購買価格の$73.49を$50程度まで圧縮することを目標にしています。
それまでは配当金を受領しつつ買い増しして、乖離を埋めて行こうと考えており、ほぼ半値ですので、ここに向けての対応はそう困難ではないと思います。
地球温暖化対策へ向けたCO2削減への道が進む中、石油製品や石油関連燃焼によるCO2排出が、兎角、やり玉に挙げられやすい時代を迎えています。
しかし、流通を支える航空や自動車関連、石油製品はまだ数十年の需要が見込まれることから、破綻を迎えるにしても、マークスの投資人生においてはないだろうと想定されますので、ポートフォリオのバランスを見ながら保有を続けたいと思います。
ではでは。
コメント