【P&G決算】マークス、プロクター&ギャンブル(PG)の20年第3四半期決算を確認する。

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■米国動向の近況

マークスです。

米国の新型コロナウイルス感染拡大はピークアウトしたと見られていますが、感染者数は約65万人に達しています。感染症抑止対策でのロックダウンはサービス関連に深刻な打撃を与えており、失業手当の申し込み者数は前週よりは減少したものの、524万5千人となっており、累計では2,200万人と途方もない数値となっていて、このままのペースで増加すると失業率は20%を超えるとする観測も出ています。

そんな中、トランプ米大統領は経済回復への道筋として、3段階での経済活動再開に向けた指針を発表しました。

第1段階では、物理的に厳格な距離を保つことが条件となり、大型施設関連の再開を認めているものの、この距離を保つことが困難な学校は休校継続、バーも閉鎖を継続するとしています。

第2段階については、感染が再急増する兆候がない州・地域に適用できるとし、社会的距離に関する措置が実用的でない場合、50人以上の集会を回避するよう提言。不要不急の外出や学校再開を認める。

第3段階では職場の人員配置に関する制限を解除するなどとされており、トランプ大統領は「一斉に再開するわけではなく、慎重に一歩ずつ行う」と述べました。

一方、原油は企業の経済活動停止に伴い需要が低迷する懸念が広がりを見せており、$18台まで下落しています。

トランプ大統領の段階的経済活動再開指針発表を受けて、若干の反発を見せていますが、中国の経済指標悪化の発表を受けて、原油在庫量が積みあがることは自明となり、原油先物価格には下押し圧力が強くなっています。

あまり報道では取り上げられていませんが、大統領選についても民主党のバイデン候補が着実に党内を固めており、サンダース議員に続き、エリザベス・ウォーレン上院議員も支援を表明しています。

現職のトランプ大統領がコロナショックへの対応に失敗すると、大統領交代もあり得ます。

■プロクター&ギャンブル(PG)の20年第3四半期(1月1日-3月31日)決算結果

決算概要

さてそんな中、16日の記事に書いた米国時間14日夕方に6%の増配に伴う、64年連続増配記録を発表したP&Gが20年第3四半期(1月1日-3月31日)決算を発表しました。内容を順次見て行きたいと思います。

結論から言うと内容はまちまちで、通期見通しは下方修正されています。

純売上高は172憶ドルで前年度+5%・為替等を除いた希薄後EPSは$1.12で前年度+8%となっており、この第3四半期に19憶ドルの配当金支払いと9憶ドルの自社株買いを行っているとし、過去10年間で配当と自社株買いで1,200億ドル以上を株主に還元したと示されており、14日発表した6%増配にも触れています。

また、この冒頭記述の締めくくりには、世界中の消費者の日常の健康、衛生、クリーニングのニーズを満たす上で、当社の製品が果たす重要な役割を直接反映しており、短期的な優先事項に対して、お互いの健康と安全を保護し、P&G製品の可用性を最大化して、消費者の高まるニーズに対応し、社会がこの危機の課題に対処して克服するのを助けていると示しています。

これはコロナパンデミックの危機に対して、消毒などの衛生関連商品を扱う企業としてのメッセージですね。

部門別業績詳細

次の部門別の業績発表の冒頭で、マイナス影響を受けた内容として為替レートで2%の損失があるとされており、為替レート、買収、売却の影響を除外すると出荷量の増大により売上高が+6%と示されています。

これは新型コロナウイルス感染拡大により、北米および特定のヨーロッパ市場での、買い占めによる消費者需要が、特定のアジア市場での数量減少により一部相殺されたためとされており、価格の引き上げによって1%が売上高に貢献したとされています。

部門別業績を眺めると、

■ビューティ部門で売上高1%増/外国為替で2%減/価格値上げ2%増でトータルが1%減

 これはSK-Ⅱなどの化粧品やウエラなどのヘアケアオーガニックを扱う部門ですね。値上げで売上高は上がっていますが、アジア全域の売上高減少とコロナパンデミックに起因する旅行者の消費減少が大きく、特に中国での2桁台にのぼる減少により相殺されているとされています。 収益率の高い化粧品の落ち込みは厳しいものがありますが、コロナショック終息による経済回復が進めば回復は期待できます。

■グルーミング部門では売上高は0/外国為替で3%減/価格値上げ2%増でトータルが3%減

 収益性が悪化しているジレットなどを扱う部門が、やはり芳しくない結果となっています。

■ヘルスケア部門では売上高が7%増/外国為替で2%減/価格値上げで1%増でトータルが7%増

ブラウンOraI-Bなどを扱うオーラルケアが市場成長、値上げ、プレミアム製品関連が一桁半ばまで増加したものの、中国市場でのコロナの混乱により販売が減少し、相殺されていると示されています。

しかし、パーソナルケアの売上は北米で好調となっており、増加しているとされています。

■ファブリック&ホームケア部門で売上高8%増/外国為替で1%減/値上げは無しでトータルが8%増

アリエールやレノアなどを扱うこの部門では、外国為替を除くと10%上昇しており好調で業績を牽引しています。

こちらも北米での売上が10%以上の上昇となっていると示されています。

■ベビー用品&ファミリーケア部門では売上高が7%増/外国為替で1%減でトータル6%増

ベビーパウダーへのアスベスト含有が原因をされる訴訟問題で一時低迷していた売上が回復傾向にあり、ケアオーガニック関連が好調であるとされています。

結果、総合売上高は6%増となっていますが、中国武漢から始まったコロナパンデミックに起因して、前期業績を牽引していたビューティー部門が落ち込み、代わりに北米市場では好調となったことで、ほぼ相殺されていると見れます。

通期ガイダンスは引き下げ

P&Gは通期ガイダンスを前年比4〜5%の成長から、3〜4%の成長に引き下げています。

これはコロナパンデミックの影響で安全通貨とされるドルに需要が流れてドル高になっていることがマイナス要因とされていますが、適度な部門の買収・売却によるプラス要因によって一部相殺されるとしています。

生活必需品セクターであるPGも、グローバル企業であるがためにコロナショックによる為替や流通の影響を大きく受けそうであるということで、今期決算が1月~3月であることを考えると、次期決算は悪化する可能性が高いと言えます。

今期発表後に株価が維持出来ているのは、増配発表によるところが大きいと思われ、決算直前のこの発表が株価下落を下支えするためと想定されますね。この想定が当たっていれば、おそらく次期決算発表後には株価が下落する公算が高くなりますので、NYダウ上昇に吊られて買い増すと痛い目に合うかも知れません。

マークスのポートフォリオ占有率は11%ありますので、当面買い増し予定はありませんが、株価が下落し占有率が下がるのであれば、買い増し銘柄として検討したいと考えています。

ではでは。

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