■アッビィ(ABBV)の2020年第2四半期決算発表
先月31日、アッビィ(ABBV)が2020年第2四半期決算(←リンク張ってます)を発表しました。
結果は増収減益のまちまちな結果でした。
売上高は104.3億ドルで予想の99.4億ドルを上回り、前年同期比の26.3%増となりました。
営業利益は7.52億ドルで、前年同期比の77.9%の大幅減となりました。
純利益は7.38億ドルの損失となり、前年同期7.41億ドルから赤字転落となっています。
調整後EPSは$2.34で予想の$2.20を上回り、希薄化後EPSは$0.46の損失となっています。
前年同期と比べると、製品販売コストが34.1億ドルと前年同期の18.2億ドル、一般管理費が35.3億ドルで前年の16.5億ドルから跳ね上がっており、これが純利益を圧迫しているのが見て取れます。
販売コストの内訳をみると無形資産償却で14.1億ドルとアラガンの買収に関わる費用が計上されていますので、売上が増加し、利益が上がった分を先行投資に回しているために経費が増大したと考えられます。
それ以外の項目としては特に経費が嵩んでおらず、製薬会社としては低めに抑えられています。 ABBVと言えば代表的な薬品として、抗リウマチ薬のヒュミラと、難治性慢性リンパ性白血病治療薬のイムブルビカがメジャーどころとなっており、主力のヒュミラの特許が米国以外で切れていることから、業績の先行きが懸念されて、一時株価の低迷を招いていました。
ABBVの主な製品収益前年同期比を眺めると、米国でのヒュミラの収益は4.8%増加する反面、米国を除く売上は調整後で15.5%の減少が見られます。
これはヒュミラの米国外で特許期限が切れによるもので、価格の安いジェネリック薬品が台頭していることが影響しています。
米国での特許も2023年に期限切れを迎えますので、それまでに別の主力薬品を開発出来ないと厳しい状況に陥る可能性がありますが、ヒュミラの売上高全体で比較すると米国内で39.7憶ドル、他国で8.63億ドルと、圧倒的に米国内での売上が高いので、期限切れまでは安定して需要が伸びると推察されます。
一方、次期主力製品と期待されているイムブルビカも全体で前年同期比17.2%増と順調に伸びています。
しかし、現状ではイムブルビカはヒュミラの1/4程度の売上ですので、やはり注意が必要ですね。
ただ、ABBVもこれには危機感を募らせており、これがアラガン買収に繋がっているのですが、延び延びになっていたこの買収も5月初旬に完了したとされており、5月8日以降の売上高が今期計上されています。
ABBVはこれで収益基盤とポートフォリオ拡大が図れたとしており、売上高の明細に新しく美容系薬品の項目が増えてシワ取り薬品であるボトックスコスメティック,神経科学系、アイケア系、ウーマンズヘルスケア系の薬品群が増加しています。
アラガン買収が明らかに売上増加に繋がっているのが明確ですが、5月初旬から6月末までの結果ですので、第3四半期結果を注目していきたいところです。
ABBVの日足チャートを眺めると、売上高・1株利益共に予想は上回ったものの、営業利益悪化を嫌気してか、下落していますが、50日移動平均線を下値抵抗として反発している上に移動平均線は上昇トレンドとなっていますので、当面は下値抵抗を割り込みにくいと考えられます。
RSI値も42.73と適正価格帯に留まっていますので、コロナ禍にあって堅調なヘルスケアセクターの銘柄として保持し続ける価値はあり、現在株価での利回りは4.97%と好利回りであることから、少なくともヒュミラの米国特許期限切れまではキープしても良いと判断出来ますね。
また、ABBVは2020年通年ガイダンスで調整後EPSを$9.61から$9.71としていましたが、アラガンの収益と連結することで調整後EPSは$10.35から$10.45に上昇するとしていますので、今後の収益性にも期待が持てそうです。
マークスが保有するABBVの平均購買株価はNISA枠で$81.54、特定口座で$87.89、総平均で$84.60、ポートフォリオ占有率は9.54%となっていますので、占有率が8%台に落ち込むか、平均購買株価を下げれる機会があれば買い増しを検討して行きたいと考えています。
ではでは。
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